残業代全額支給の罠

先日、『採用要項や求人票に「時間外手当(残業代)」の記載がない理由』という記事にて、求人情報に時間外手当(残業代)を支給する旨が記載されていないことがある理由について考えてみたが、今日は逆に「残業代全額支給」と記載されている求人情報について考えてみたい。


残業をやりたくない人でも「残業代全額支給」という文言を見たら「ああ、残業は嫌だけど残業代が全額出るなら我慢するかな。」と思ってしまうだろう。多少の残業はお金のためと割り切れないこともない。恒常的に忙しいわけでなければ繁忙期に残業代をガッツリ稼ぎ、閑散期に有給を取得して旅行に行くといったメリハリの付いた働き方もできるのでそこまで悪い話でもない。「残業代全額支給」にはそんな魅力があると思う。

しかし、「残業代全額支給」を謳いながら残業代を支払わない会社も存在するのでバカ正直に信じてしまうのは少々危険だ。



以前、僕が働いていた会社では求人情報に「残業代全額支給」と記載されていたし面接でもその旨が説明されたけれど、いざ入社してみると一切残業代が支払われることはなかった。というのも、定時を過ぎて仕事をしていたとしても「(仕事量を無視して)お前の仕事が遅い。」とか「これは勉強だから。」とかアレコレと理由をつけて、「定時を過ぎて会社にいるけれど残業をしているわけではない。」と見なされていたからだ。

残業をしていないのだから残業が出ないのは当然、ということである。初めてそのトンデモ理論を聞いたときは正直「やられた!」と思った。

上記の様にして残業代の支払いを逃れる会社が日本社会にたった1社だけ、ということは考えにくいのでおそらく多くの会社で同じようなことが行われているのだろうと思う。



また、「残業代全額支給」がそもそも嘘であるケースも十分に考えられるので注意が必要だ。

「残業代は一切支払いません。」とか「何時間残業しても20時間分しか支払いません。」と正直に求人情報に書くと(そもそも違法だけど)労働者が敬遠して寄ってこなくなるので、全額支払うつもりなんて微塵もないのに労働者を釣るために「残業代全額支給」と記載する会社がないとは思えない。



どちらのパターンも、実際に入社してみるまで実態がどうなっているのかわからないところが非常に恐ろしい。「嫌なら辞めれば良い。」とは言っても履歴書を汚さないためにはそう簡単に辞められるわけもないので、現実的には対処のしようがない。

残業代支給云々に限った話ではないけれど、自己防衛手段が皆無の就職・転職活動は労働者側が圧倒的に不利なギャンブルだと言える。



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