「残業=仕事が遅い=自己責任」論に異議あり

「残業=仕事が遅い=自己責任」論について

「残業する人は仕事が遅い=本人の自己責任」という理論を
新聞や雑誌のビジネス関連の記事、インターネット上のビジネスサイト等でよく見かける。

僕自身、この考え方自体は非常に正しい考え方だと思う。

例えば10人の人が同じ仕事をしたとして10人とも8時間(ギリギリ定時内)で
終わらせることができる仕事に10時間かかってしまって
2時間の残業をしなければならないのであればその人は明らかに仕事が遅い。

そういう場合は「残業=仕事が遅い=自己責任」で間違いない。
(ただし、だからと言って残業代を支払う必要がない、という会社は間違っている。
 その点についてはまた別の機会に触れたいと思う。)

この場合、

「10人が同じ仕事をして10人全員が8時間で終わらせることができる仕事」

という明確な基準があるので、10時間かかってしまった人は仕事が遅い、
ということは客観的に誰が見ても明らかだからだ。


基準がないのに「残業=仕事が遅い」は間違っている

しかし、現実には「残業=仕事が遅い」というケースにおいて、

「平均○○時間かかる仕事に対してあなたは△△時間かかっている。
 だからあなたは仕事が遅い。」

と客観的な基準を元に「残業=仕事が遅い」と判断されることはほとんどない。

どう考えても定時内に終わらせることができない仕事の量を押し付けておいて
「お前は仕事が遅い!」と叱責されるパターンが大多数だろう。


「いや、前任者はきちんと定時内に仕事を終わらせていたのに
 後任のあいつは残業してるんだから、やっぱり『残業=仕事が遅い』で間違いない。」

という意見もあるかもしれない。

ただ、その場合は前任者がたまたま仕事のできる人で普通の人よりも
仕事が早い人だった可能性もある。

仕事が早いスーパーマンと比較されて仕事が遅いとマイナス評価をされる方は
たまったものではないので単純に前任者と比較して判断するのも間違いだ。


まずは明確な基準を

どうしても仕事が早い・遅いの判断をつけたければ
まずは各業務ごとにかかる平均的な時間を算出すべきだ。

単純なデータ入力などの仕事であれば1時間あたりの処理件数が基準になるので
客観的な基準はすぐに用意することができるはずだ。


一方で、単純作業出ない仕事(たぶんほとんどの仕事が当てはまる)については
明確な基準を設定することはかなり難しいかもしれない。

ただ、それでも新しい事業を展開するというような場合でもなければ
過去の似たような仕事から各業務にかかるおおよその時間を算出することは
可能なはずだし、何より社員の仕事の出来を客観的に評価するにあたっては
明確な基準というのは絶対に必要になる。

なので、部下の仕事の出来について評価を下さなければならない上司には
どんなに難しくても誰が見ても納得できる基準を頑張って用意してもらいたい。

それが部下を評価する前に上司が最優先で行わなければならない仕事だろう。


「残業=仕事が遅い」を真に受けるな

このように簡単に考えただけで「残業=仕事が遅い」が成り立たない場合が多いというのは
明らかであるにもかかわらず、なぜ「残業=仕事が遅い」論が幅を効かせているのか?

それは、上司や会社が社員の責任感に漬け込んで残業代を払うまいと企んでいるからだ。

責任感の強い社員ほど「残業=仕事が遅い」と言われると仕事が定時内に
終わらないのは自己責任だと思い込んでしまって残業をつけるのを躊躇してしまう。

そういう社員は上司や会社にとってはタダで働いてくれる非常に都合が良い存在なのだ。


もしあなたが責任感が強い社員であって明確な基準もなく「残業=仕事が遅い」と
叱責されて残業をつけなかったことが一度でもあるなら
その考え方は改めるようにして欲しいと思う。

あなたの仕事の出来について誰も客観的に評価できないのだから。



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