厚生労働省のホワイト企業認定制度が普及しない理由は企業にはリスクが大きすぎるから

厚生労働省は平成27年6月から安全衛生優良企業公表制度(通称、ホワイト企業認定制度)の受付を開始しているが、現在の時点で優良と認定(ホワイト)された企業は2社(岐阜県の部品メーカー「パジェロ製造」、鳥取県の建設業「やまこう建設」)だけらしい。

安全衛生優良企業公表制度について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000075611.html
大企業が「ホワイト認定」申請に二の足を踏む理由〈週刊新潮〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150901-00010000-shincho-bus_all


国のお墨付きのホワイト企業になれば採用活動で有利になるように思えるが、ホワイト企業制度への申請を行う企業が増えない理由は何なのだろうか?

「ホワイト企業=100%のコンプライアンス(法令遵守)」はハードルが高すぎる

求職者がホワイト企業に対して持つイメージというのは徹底的なコンプライアンス(法令遵守)なので、ホワイト企業は以下ような労働条件を全て満たしていなくてはならない。

  • 基本的に定時帰り
  • 例外的に残業があっても残業代は1分単位で支払われる
  • 有給は全消化が当たり前で、取得の際に理由を聞かれることはない
  • 男性も女性も育児休暇を100%取得でき、職場復帰も容易
  • 休日に急な呼び出しがかかることはない(それくらいバックアップ体制が整っている)
  • パワハラやセクハラがなく風通しが良い社風

まず、これらの労働条件を満たさなければならないという時点でホワイト企業認定の申請は企業にとってとてつもなくハードルが高いことがわかる。悲しいことに、現実的には全てに当てはまる企業は存在していないのではないだろうか。まさに絵に書いた餅であると言える(企業だけど)。

世間一般的にホワイト企業だと言われている企業でも実際には多少曖昧な部分もあるだろうから、ホワイト企業認定制度を利用して100%法令遵守していることを世の中に広く宣言するのはとてもハードルが高い行為であると言える。

1%の法令違反が即ブラック企業認定に

仮に、何とか労働条件を整備することに成功してホワイト企業認定を受けた企業があったとする。ホワイト企業認定のおかげで求職者が多数応募してくるだろうから採用活動は企業側が選びたい放題でスムーズに行えるだろう。

しかし、問題は採用が終わって労働者が働き出してからだ。

100%の法令遵守を謳っているホワイト企業が1%でも法令違反(たまたま発生した1時間/月の残業代を支払わなかったなど)を行おうものなら、鬼のクビを取ったかのように世間から袋叩きにされて大炎上した挙句、ブラック企業であると認定されてしまうだろう。

何故なら、ホワイト企業であると言っていたのは嘘だった(法定違反を行った)のだから。

グレーな企業が多少ブラックなことをしても「ああ、また何かやってるな。」程度で済むかもしれないが、国のお墨付きのホワイト企業が実はブラック企業であると判明してしまったら事は簡単に事は収まらないと予想される。ホワイト企業認定制度は企業側にはリスクが大きすぎる制度なのである。

労働基準法と労働安全衛生法の徹底遵守を

このブログでは何度も同じことを言っているけど、ホワイト企業認定制度のような奇抜な新しい制度を始めなくても、企業に労働基準法と労働安全衛生法を徹底的に遵守させることができれば労働関連の大抵の問題は解決するはずだ。

厚生労働省には厚生労働省過重労働撲滅特別対策班(通称:かとく)というその名の通り過重労働を撲滅されるための特別班が存在するのだから、そういったところに人員や予算を集中させて既存のブラック企業を確実に潰していけば良いのではないだろうか。



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