NHKおはよう日本 過労死問題と過労死防止基本法制定に向けた動き

昨日11月22日のNHKのおはよう日本にて、昨年過労死(長時間労働の末の死亡や自殺)をして労災認定された人数が過去最多の800件を超えたことと、過労死を防ぐための法律制定の動きについての特集があったので紹介したい。




まず、過労死の一例として取り上げられたのは、庄やグループ(株式会社大庄)の「日本海庄や」の従業員(24歳男性)が2007年4月に入社後わずか4ヶ月で急性心不全で亡くなったケースだった。研修後は連日深夜帰宅となる長時間勤務が続き、平均残業時間は112時間となっていたようだ。これは、過労死ラインである月80時間を遥かに超えている。

この過労死した従業員が長時間労働を行わなければならなかった原因としては、単純に忙しいという理由の他に「日本海庄や」の給与体系に問題があったようだ。新卒者の給与は約19万円とされていたものの、実はこれは残業代80時間分を含んだ金額であり残業時間が80時間に満たない場合には相当額が減額されて支給される仕組みだった。そのため、仮に全く残業をしなかった場合の給料は約12万円(最低賃金とピッタリ一致する額)となるため、まともに生活できるだけの給料をもらおうと思えば残業をせざるを得なかったわけだ。

一見すると約19万円という給料は新卒者としては普通の額であるけれど、実は裏にはこんな仕組みがあったというのだから驚きである。しかも、過労死した従業員はこの給与体系のことを入社後の研修の際に初めて知らされたとのこと。



また、過労死ラインを超える残業時間について、労働基準監督署は指導はできても規制はできないという現実にも触れられていた。

過労死の原因となっている残業は、労働基準法に基づき労使間で協定(いわゆる36協定)を結ぶことで初めて1年で360時間まで可能となり、更に特別条項を申請すれば1年で360時間という上限を撤廃することが可能となる。過労死ラインが月80時間と言われているにも関わらず青天井に残業が許されるのはおかしな話のように思えるけれど、残業についての決まりはあくまでも労使間の協定によるものであるから、というのが理由らしい。

そのため、企業によっては残業時間の上限を100時間や250時間としているところもあるらしい。



上記のような問題を解決するためとして取り上げられたのが11時間の休憩時間制(インターバル)と過労死防止基本法の制定に向けた動きである。

西谷敏享受(近畿大学法科大学院)が紹介した11時間の休憩時間制はEU労働時間指令に倣ったもので「24時間につき最低連続11時間の休息期間を付与する」というルールだ。

過労死防止基本法は、その名の通り過労死の防止を目的とする法律であり、過労死防止基本法制定実行委員会が制定に向けて活動を行っている。署名は現在52万筆集まっているとのこと(目標は100万筆)。



以上がおはよう日本の特集で取り上げられた内容である。朝のNHKのニュースで過労死問題が放送されたことで、普段はあまり労働問題に触れない人の目に留まったことと、過労死防止に向けて世論が活性化することをを期待したいと思う。

ちなみに、「日本海庄や」の過労死の件については、ニュースで放送されていた内容の他に「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪(文春新書、今野春貴著)」に記載されていた内容も加えています。内容の誤りにお気付きになられた際にはツイッター(@chachachamo)よりご連絡頂けると助かります。



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