駆け込み退職する公務員が避難される理由はどこにも存在しない

先週くらいから話題になっている公務員の駆け込み退職問題だけど、兵庫県小野市の市長がトンデモ発言をしているようなので取り上げたいと思う。

なお、駆け込み退職問題とは、公務員の退職金が条例改正で引き下げられるにあたって、条例施行前に退職をすると退職後にもらえない分の給料を差し引いても退職金+給料の合計額が大きくなるために年度末まで待たずに退職を希望する人が続出している問題のことだ。特に、埼玉県の教師約30人が早期退職を希望していることが大きく取り上げられている。

自治体職員の退職手当引き下げを盛り込んだ改正条例施行前に、駆け込み退職を希望するケースが全国で相次いでいる問題で、小野市の蓬莱務市長は24日の定例会見で、退職の意向を示している同市立学校給食センターの女性栄養士について、「定年退職者に通常出している感謝状は出さず、市での再任用の希望があっても却下する」との意向を明らかにした。理由は「多額の退職金をもらうことになっているのに、職責を全うせずに損得で動いている」としている。

~(中略)~

蓬莱市長は「60歳以上の雇用が大変厳しい時代に、退職金が70万~80万円少ないことだけで職責を放り投げている。そのうえ、市で再任用してくれ、では筋が通らない」と説明。ただ、今年度末まで働くと退職手当が減る仕組みを疑問視する声もある。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hyogo/news/20130125-OYT8T00014.htm

まず、蓬莱務市長曰く、「多額の退職金をもらうことになっているのに、職責を全うせずに損得で動いている」らしいが、全く意味がわからない。職責はあくまでも公務員として働いている最中に発生するものなので、通常通りの退職でも早期退職でも退職後に職責が発生することはないのだ。つまり、退職までまじめに勤務さえすればその人は職責を全うしていると言えるはずだと思うのだけど、僕の考えが間違っているのだろうか。

また、金銭的な損得で退職時期を判断していることを強く非難しているようだが、損得勘定で動いて何が悪いのだろうか。公務員は税金を扱っている以上、コスト意識が高くなくてはならないはずだ。早期退職を希望する公務員はそのコスト意識を発揮しただけのことである。早期退職した方がトータルで貰えるお金が多くなるのであれば早期退職を選択するのは極めて合理的だと言える。

「60歳以上の雇用が大変厳しい時代に、退職金が70万~80万円少ないことだけで職責を放り投げている。そのうえ、市で再任用してくれ、では筋が通らない」という部分にも注目したい。

60歳以上の雇用が大変厳しい時代だからこそ、少しでも多くの退職金を貰えるように早期退職を選択していることは容易に想像できるし、70~80万という大金を「70万~80万円少ないことだけ」と言い切ってしまっているのは蓬莱務市長の金銭感覚が異常だとしか思えない。確かに、退職金の総額からしたら70~80万円は少額なのかもしれないが、70~80万円という金額そのものは間違いなく大金である。蓬莱務市長にとっては70万~80万円を貰えないことは道で100円を落とすのと同じような感覚なのだろうか?

更に、蓬莱務市長は「市での再任用の希望があっても却下する。」としている。いくら何でも暴走し過ぎだろう。

早期退職が制度としてみとめられている以上、早期退職を選択する公務員が避難される理由はどこにも存在しない。むしろ、避難されるべきはまじめに働いた方が退職金が減ってしまうシステムや、それによって生じる問題の責任を現場の職員に押し付けるつもりのシステム運用側の人達ではないだろうか。



   スポンサーリンク