新卒者への労働条件の明示は入社当日ではなく内定時に行うべき

前回の記事、「募集(採用)要項や求人票の記載内容からブラック企業を見抜く方法」を書いた後に少し思ったことがあるので今日はその点について。


前回の記事で触れたブラック企業対策プロジェクト「企業の募集要項、見ていますか?―こんな記載には要注意!―」で触れている通り、労働基準法第15条には使用者は労働者へ労働条件を書面にて明示しなければならない旨が記載されている。

僕は何度か転職をしており、確かにいずれの会社においても勤務時間・賃金・仕事の内容が記載された書面を受け取った記憶があるが、その書面を受け取ったのはいずれも入社当日だった。おそらく他の多くの会社でも入社当日にならないと労働条件が示されることはないだろう。

しかし、よくよく考えると入社当日にならなければ労働条件がわからないというのは労働者にとって圧倒的に不利な話である。



ブラック企業対策プロジェクトの「企業の募集要項、見ていますか?~(略)」によると、募集(採用)要項や求人票の内容がそのまま採用後の労働条件となるわけではないとのことなので、採用時には甘い条件で労働者を釣っておいて入社する時点になって賃金額や休日数を減らした労働条件を突きつけても会社側にはお咎めなしというとになる(※著しい変更が許されるのかどうかまでは調べてません)。モラル的には大いに問題ありだと思うけど、社員から搾取する気満々のブラック企業であればやりかねない手口だと思う。

日本においては、一旦仕事を辞めてしまうと条件の良い仕事に新しく就くことがとても困難であることはご存知の通りなので、入社時点で劣悪な労働条件を突きつけられたからといって「面接時に聞いていた労働条件と異なるので辞めます。」とはなかなか言えない。せっかく決まった就職を蹴って無職になり、再びいつ終わるかもわからない就職活動に励むのは非常にリスクが高く金銭的にも精神的にも大きな負担となってしまうからだ。

このことは特に新卒者にとって非常に大きな問題となる。入社当日に明示された労働条件に納得できなかったからと言って入社を辞退してしまうとスキルなしの既卒無職となってしまってその後の人生の難易度がベリーハードになる可能性が非常に高いので、嫌でも入社をせざるを得ない、というのがその理由だ。

調査をしたわけではないので詳しいことはわからないが、このような阿漕なやり方で会社側に圧倒的に有利な労働条件で新卒者を集めて使い潰している会社も少なくないのではないかと思う。



こういった新卒者の使い捨てを避けるためにも、内定後すぐに入社時の仮の労働条件を示すべきではないだろうか。もちろん、会社の経営状況や人事異動の都合等により新卒者の労働条件を内定時点で100%決定することは難しいかもしれないが、それは状況に応じて適宜修正していけば良いだろう。

少なくとも、就職試験時の募集要項からいきなり入社時に明示される労働条件に飛んでしまうよりは、途中に何度か労働条件が示された方が、いざ入社時に労働条件が著しく変わった際に経営状況の変化による止むを得ない変更なのか労働者から搾取するための悪意に満ちた意図的な変更なのかを客観的に判断しやすいはずなので、労働者保護の点からは有効な方法だと思う。



   スポンサーリンク