高齢者の再雇用は労働市場のダンピングでしかない

国が定年退職した高齢者の再雇用の後押しをしていることをニュースや新聞などで見て知っている人は多いと思う。

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1.html

年金支給開始年齢の引き上げにより無収入の期間が発生してしまうための措置であることは理解できる。会社としても、定年退職でいなくなってしまうよりは再雇用で残ってもらって豊富や経験・知識・人脈を発揮してもらった方がメリットが大きいことは間違いないだろう。

しかし、僕は高齢者の再雇用という制度に対して待ったをかけたい。というのも、高齢者の再雇用は労働市場のダンピング以外の何ものでもないからだ。

再雇用の高齢者は年金支給開始年齢までの間だけをしのげれば良いので毎月を暮らせるだけの給料があればOKという人が多い。多少給料が安かったとしてもその分は過去に働いていたときの貯蓄や退職金を取り崩すことで十分に対応できるので大きな問題になることはない。そのため、高齢者は毎年の昇給や賞与などは一切必要としていない(あったらラッキーという程度だろう)。

つまり、結婚、子育て、マイホーム購入などの大きな出費の予定があり昇給や賞与が必要となる若者と比べると再雇用の高齢者は圧倒的に安いコストで雇うことができてしまうのである。しかも、前途の通り過去に蓄積した豊富な経験・知識・人脈まで持っているのだから、これでは若者と高齢者が真っ向勝負すれば若者が高齢者に勝つことはほとんど不可能だ。

近年、若者の非正規労働者の比率が非常に高くなっており、若者の「努力不足=自己責任」とする論調を度々耳にするがハッキリ言って暴論であると思う。もちろん若者が努力をしなくても仕事にありつける制度があった方が良いというわけでは決してないけれど、若者がいくら努力をしたところで給料や実務経験の面では高齢者に比べて圧倒的に不利なのだから一部の天才的な若者以外は高齢者に太刀打ちできないだろう。

普通の若者が再雇用の高齢者に勝とうとするなら「サービス残業でも何でもしますから。」と自らの労働の価値を下げて社畜になり会社に頭を下げ続けるしかないが、これでは若者の労働環境が悪化するだけである。世の中には凡人の方が多いのだから普通の若者の雇用を圧迫しないような高齢者の再雇用の制度作りが大切だ。

案としては、若者を最前線で働かせて再雇用の高齢者は若者を裏からサポートするような仕組みになれば良いのではないかと思う。そうすれば若者の育成と高齢者の再雇用を同時に実現できるので、会社にとっては悪い話ではないだろう。国は単純に高齢者の再雇用を促進するのでなく、若者の育成も考慮した政策を考えなければならない。

そうしなければ、高齢者の再雇用に敗れた実務経験の乏しい労働者(元若者)の数が多くなって将来的には国力が大きく落ちてしまうだろう。それでは長期的に見れば国としてもマイナスにしかならないはずだ。



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