NHKクローズアップ現代の居酒屋甲子園が気持ち悪すぎて直視できないレベル

昨日1月14日(水)にNHKクローズアップ現代で取り上げられた居酒屋甲子園について。


居酒屋甲子園とは何かというと、日本一の居酒屋を決めるコンテストのことである。これだけだと、料理の味や接客等のサービスのレベルを競うコンテストのように思えるが、実際には20分間のプレゼンテーションで「居酒屋で働く夢と誇りを最も熱く謳い上げ、聴衆を感動させた店舗が日本一の座を勝ち取る」(NHKのナレーション)コンテストである。

具体的には、リーダー(?)の号令に合わせて「いらっしゃいませ!」と大勢で連呼してみたり、何をやってもダメだった自分が居酒屋での仕事を通して生きる希望を見出すことができたエピソードを語る、といったパフォーマンスを行い、その内容により審査が行われる。

大勢が一心不乱に叫び、涙を流し、熱くなっている姿は自己啓発セミナーや新興宗教の類を連想してしまうのでかなり気味が悪かった。以前、餃子の王将の研修風景の異様さが話題になったが、この居酒屋甲子園も同じような感じである。



とは言っても、コンテストの内容と居酒屋との関係性がゼロでいまいちピンと来ないと思うので、一度公式サイトに掲載されている動画を見て頂きたいと思う。

居酒屋甲子園公式サイト
http://www.izako.org/
※1月15日(木)21時現在、アクセスが殺到し過ぎて上手くページが表示されないようです。

何となく雰囲気は伝わったと思う(Youtubeで検索すればもっと出てくるので興味があれば探してみて下さい)。

まあ、仮にこれがプライベートなのであれば参加は個人の自由なので外野の僕がとやかく口出しする筋合いは全くないのだけど、この居酒屋甲子園が仕事の延長線上で行われていることを考えると非常に気持ち悪くて直視しているのが憚られるレベルであり、「キモい」、「ドン引き」といった言葉は居酒屋甲子園の感想を述べるために存在しているのではないかと思えてくるくらいしっくりくる。



番組内のVTRには、居酒屋甲子園を二連覇(2011~2012年)した経験を持つ福岡県福岡市の居酒屋(調べてみると、「居心地屋 螢 上人橋店」である)で働く従業員Wさんが登場した。彼は何をやっても上手く行かず職を転々としていたが、労働時間が最長16時間/日、という目の下にクマができてしまう程の劣悪な労働環境にも関わらず仕事を楽しんでいる、とのこと(入社直後の年収は250万円程度)。なお、給料は手渡しであり、給料袋には上司からの優しい言葉満載のポエムが毎月添えられている。Wさんはこれをもらうことに喜びを見出しており、来月もまた頑張ろうという気になるそうだ。

ちなみに、この居酒屋では居酒屋甲子園への取り組みを開始してから離職率が5割から3割に下がったそうだが、Wさんの労働条件を見る限りは居酒屋甲子園への取り組みを通じて職場環境が改善された等ではなく、7割の社員の洗脳に成功したために離職率が低下したのだと思う。



NHKのスタジオにコメンテーターとして登場した阿部真大氏(甲南大学准教授)と小田嶋隆氏(コラムニスト)は、居酒屋甲子園のような「やりがい」で過酷な労働環境を隠して現実から目を背けされる状況に警鐘を鳴らしていた。

加えて、「やりがい」だけでは過酷な労働環境下で10年や20年も働けるわけはないので、労働組合を作るなり残業代を請求するなりして「やりがい」だけで満足するのではく労働者としての自覚を持ち搾取されないようにする必要があると述べた。

阿部氏と小田嶋氏のコメントは非常に的を得た発言であり、このブログでも何度も繰り返し述べてきたことである。今回のクローズアップ現代はブラック企業特集というわけではなかったが、その内容は紛れもなく痛烈なブラック企業批判であった。

夕食時に居酒屋甲子園の異様な光景が放送されてお茶の間が凍り付いてしまったかもしれないが、NHKの全国放送でこういった話題が放送されたのは劣悪な労働環境に対する問題提起となったのではないだろうかと思う。



ちなみに介護士、エステティシャン、温浴施設、歯科助手、パチンコ、といった如何にもブラックだと思われる業界でも居酒屋甲子園の類のコンテストが同じように行われているらしい。経営者はどれだけ劣悪な労働環境を隠すために社員の洗脳に力を入れているのだろうか。



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