東京都豊島区の新庁舎が実質0円で建設できたのは成功例の一つに過ぎない

東京都豊島区の新庁舎が携帯電話の契約のように実質0円で建設されたと話題になっている。

「実質0円」で建設した東京・豊島区新庁舎 ハコモノ計画に一石
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150830-00000005-wordleaf-pol


あくまでも「実質0円」なので、実際には新庁舎の建設には総工費が約430億円と高額は建設費がかかっているけど、1999年時点で872億の借金があった豊島区にとってはとても捻出できる金額ではない。

一体どんなカラクリなのか?

実質0円を実現した方法とは

実質0円を実現した方法は、普通の行政機関ではあまり検討されないであろう方法であり、以下のようなことを行っている。

  • 廃校となった小学校と児童館があった区が所有している土地を移転先とした
  • 新庁舎の上にマンションを建設して周辺民家との買収の際に権利交換を行ったため買収費用は0円であった
  • マンションの空き部屋を販売し、その売上にて財源を確保
  • 旧区役所の跡地は民間に貸与して財源を確保

建設地として使用されていない区の所有地を使ったり、旧区役所の跡地を民間に貸与する、というのはまあ普通の手法だと思うけれど、庁舎の上にマンションを建設してしまうという発想が面白いと感じるし、そんな普通でない発想で約430億円という建設費用を抑えることに成功したのは素晴らしい。

いわゆるお役所仕事とは対極の仕事による成果であると言えるだろう。どうやって内部決済や議会の承認を得たのかちょっと興味が湧いてくる。/p>

他の自治体で実質0円が実現できるとは限らないし、問題も多い

財政難に苦しむ全国多数の自治体からすれば豊島区による新庁舎の建設方法は是非とも真似したいものだし、住民からすれば貴重な税金を支出せずに公共施設を建設できるのであれば是非自分の住んでいる町でもやって欲しいと思うだろう。しかし、安易に真似できる方法ではないことは理解しておかなければならない。

豊島区のケースをそのまま真似るとした場合、田舎の自治体では役所の上にマンションを建設するという段階で計画が頓挫してしまうことは目に見えている。田舎では一軒家に住んでいる人が多いのでマンションとの権利交換で住民と立ち退き交渉を行っても突っぱねられてしまうだろうし、そもそもマンションの建設自体が無駄なコストとなってしまう可能性が高い。

別の手法を用いて実質0円を実現できる可能性も極めて低い。豊島区はたまたま複数の条件が噛み合った結果として成功できたのであって、いつでも狙ってできるものでもないだろう。というか、いつでも狙って実質0円が実現できるようなら、既に全国各地で盛んに行われているはずであるけれど、そうではないということは簡単には実現できないことを意味する。

それに、豊島区の例では庁舎用・住宅・公共用の3つのエリアの修繕費等を適切に管理するために管理組合が3つも存在する。将来的な修繕費の負担方法や負担割合などについて、また、数十年後に訪れるであろう次の建て替えの際の方針の食い違いにより管理組合同士で大きく揉める可能性もある。そう考えると、長い目で見たときには今回の実質0円がお得だったと言えるかどうかは微妙なところだと思う。

豊島区の例を役所叩きに利用してはならない

繰り返しになるけど、豊島区は今回はたまたま成功した事例に過ぎない。なので、豊島区をダシにして実質0円を求めて役所叩きをするのは絶対にいけない。

もちろん、貴重な税金を財源とする以上は無駄な出費は可能な限り削減するべきだけど物事にお金がかかるのにはそれなりの理由が必ずあり、単純に金額だけを見て無駄遣いだと言うことなどできはしないので「実質0円」と「無駄遣い」というキーワードを何も考えずに用いて役所叩きをするのは見当違いの行為である。



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