世界陸上で棄権した競歩・鈴木雄介選手の「言い訳」は反省と敗因分析である

2015年8月23日(日)に中国・北京で開催中の世界陸上の男子20km競歩に出場し、恥骨炎(股関節の痛み)の悪化により途中棄権した鈴木雄介選手への事後インタビューについて。

「取材に時間をあてすぎた」競歩・鈴木雄介が抱えた自覚と葛藤。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150824-00824007-number-spo&p=3


試合当日の夜に放送された情熱大陸はちょうど鈴木選手の特集だったけど、その中では競歩を広めたいと話していた。今年の3月に世界新記録を出して注目を集め始めてからは、世間に競歩を浸透させるために積極的に取材を受けるようにしていたようだ。

鈴木選手の言い訳

取材を受け過ぎたことで練習時間が不足してストレッチや補強が足りなくなり、体が硬い状態で練習を行っていたことが恥骨炎の発症と悪化に繋がったと、試合後のインタビューでは語っている。

世界新記録を樹立した直後の3~4月は競歩というマイナー競技に著しい注目があたっていた時期だったこともあり、鈴木選手の受けられるだけの取材を受けたいという意向があったようだ。

鈴木選手の言い訳に対する反応

上記の鈴木選手のコメントに対して、Yahoo!ニュースでは辛辣なコメントも結構多い(以下全てhttp://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150824-00824007-number-spo&p=3より)。

言い訳だね。
陸上以外のスポーツに目をやると、鈴木よりもはるかに多くのメディアの取材に応じて結果を出してるアスリートは腐る程いる。
練習はしようと思えばできたはず。
取材を受けていくうちに何か勘違いして己に対して甘えが生じたんじゃないのか?

言い訳にしか聞こえないんだが。
ボルトやガトリンは一年中、世界各国からもっと多くの取材を受けてる。
それでも素晴らしい走りを見せただろうが。
逆に聞くが取材など一切ない状況だったらお前は優勝できたのか?
はっきりいうが確定で優勝だったことはないと思うぞ。見苦しい。

確かに、これらのコメントは強ち間違ってはいない。沢山の取材を受けながらでもしっかりと結果を残している強豪アスリート達は少なくないので、その点を考えると「取材を受け過ぎたからダメだった。」という言い訳に過剰な反応が返ってきてもある程度は仕方ないのかもしれない。

「悪い言い訳」と「良い言い訳」の違い

ただ、「言い訳=悪」と短絡的に決めつけてしまうのは良くない。

もちろん、「あいつがいなければ。」とか「今日は暑かったから。」などと自分ではどうしようもないところに責任の所在を求めて「自分は悪くないです。」と言い張るのは「悪い言い訳」であると言える。このような言い訳は論外だろうし、こんなことを言うくらいならその後の全ての取材から逃げて黙っていた方がマシだ。

しかし、鈴木選手は「自分の意思で取材を受け過ぎて練習不足になったことが悪かった。」と自分の中に原因があるとしている。これはただの言い訳ではなく反省・敗因分析ではないだろうか。

来年(2016年)にはリオデジャネイロ五輪が控えているため、今後はそこに焦点を当てて練習を行っていかなければならないが、今まで通りの調子で沢山の取材を受けながら練習をしていたのではまた今回と同じ結果になってしまう可能性が高い。しかし、「取材の受け過ぎが練習不足に繋がった」という反省・敗因分析に基いて必要な練習量を確保できるように取材量を抑えれば、世界記録保持者であることからも五輪で勝てる可能性は十分にあると言える。

このように、次に繋がる敗因分析となる言い訳が「良い言い訳」であると言えるだろう。

次は金メダルで競歩の浸透を

レースの後、鈴木選手は自分で記者達を集めてインタビューを受ける場を設けたらしい。本来は行われることのない形であえて記者を集めたのは、マイナー競技の選手である自分に期待をかけて取材してくれた記者達への申し訳なさと自身への戒めの意味が大きかったのではないか。先述の「取材を受け過ぎて練習できなかった。」という「言い訳」も記者を責めるような言い方ではなかったらしい。

今後の鈴木選手には、反省・敗因分析に基いて取材の量を抑えながらしっかり練習に励んで欲しいと思う。そして、リオデジャネイロ五輪で優勝して金メダルを獲得することで競歩を世間に広める役目を果たして欲しい。



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