いのちの電話の相談員不足とボランティアの善意に依存するシステムの限界

「いのちの電話」の相談員のなり手不足が深刻化しているらしい。

いのちの電話SOS なり手不足深刻化
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150823-00000021-khks-ent

自殺志願者の駆け込み寺として自殺抑止活動(電話やメールによる悩み相談)を行う「いのちの電話」の相談員は全てボランティアのようだけど、ここ数年は志願者が減ってしまっているらしい。

相談員志願者の絶対数が少ない

ボランティアに意欲的な人であっても自殺者志願者の相談はかなり荷が重い。近所の道路や公園のゴミ拾いなどを定期的に行う等の気軽にできるボランティア活動を選択するのが普通だろう。

また、見ず知らずの他人のお世話をするボランティアなのでよっぽど精神的に余裕のある人でなければやろうという発想に至ることがないだろうし、自分の相談によって結果として相談者が自殺してしまったらと考えると積極的に取り組みたいボランティアであるとは言えない。

相談員になろうという人の絶対数があまり多くないというのは確実だ。

相談員になるための養成講座のハードルが高い

いのちの電話の相談員になろうと思ってもそこから先にも様々な壁がある。

事前に1年半(1~4回/月)の養成講座を受講して専門知識を身に付けなければならない上に、受講費用の60,000円(研修費用15,000円×3回 + 宿泊費15,000円)は自己負担しなければならないのだ。

自殺志願者の対応というデリケートな仕事なので養成講座を受講しなければならないというのは理解できる。訳の分からない持論を展開する相談員に当たってしまったら相談者はたまったものではないので、きちんとした教育を受けた相談員が対応するのは当然だ。

しかし、養成講座を受講するのに4万5千円費用がかかるというのがどうにも解せない。決して安い金額ではないので金銭的に余裕がある人でないと相談員になることはできないだろう。高額な受講料は中途半端な気持ちで相談員になろうとする人をふるい落とすのには確かに効果的かもしれないが、そういった人達は1年半の養成期間の間に勝手に消えるはずなので選別目的ならあえて受講費用を取る必要は感じられない。

それに、貧困が原因で自殺しようとしている相談者もいる可能性があるのに、60,000円を惜しみなく支出できるお金持ちしか相談員になれないという状況もどうなんだろうか。「パンがなければお菓子を食べれば良いじゃない。」という状態にならないか心配だ。

そもそもの志願者が少ないのに、更に高額な受講料というハードルが待ち構えている現状では相談員不足は必然と言えるのではないだろうか。人材不足の解消だけではなく、幅広い質の相談員を揃えるためにもせめて養成講座の受講料は無料してもらいたい。

ボランティア依存の限界

いのちの電話のセーフティネットとしての役割はとても素晴らしいものだと思うけれど、精神的にも金銭的にも余裕があって且つボランティアに興味がある人しか相談員になれないのでは常に一定の人材を確保するのは難しいのだから、(現時点で足りていないらしいけど)将来的に窓口数が減ってしまうのも仕方ないことだと思う。

どうしても相談員を確保したければ、どこから費用を捻出するかという新たな課題は発生してしまうけど、養成講座の受講費用を無料にした上で最低賃金程度のアルバイト代を払って普通の仕事として人を募集するかだ。そうすれば、現状よりも人が集まることは確実だろう。

いずれにしても、他人にかまっている余裕がない人が増えてきている現代社会でボランティアに依存して安定した運営ができるとは思えない。



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